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コラム・仲間の声

【対談】DIC機材株式会社×サンエープリント

「大切な仲間」との対談、第一弾。当社と長年関係の深い、DIC機材㈱の担当者様とこれまでのあゆみをふり返ります。

対談者
DIC機材株式会社
吉田正清さん 関東営業部主任 (写真左)
松崎浩一さん 関東営業部リーダー (写真右)
株式会社サンエープリント
羽賀光晴 印刷部/1993 年入社 (写真中央左)
西村和高 CTP事業部/2003 年入社(写真中央右)

サンエープリントは、資材や機械を提供してくださる販売会社さん(各資材メーカーさん)や、自社では出来ない後加工などを担当してくださる協力会社さんは、お客様のご要望を叶える仲間だと思っています。
そんな「大切な仲間」との対話を収録する「仲間の声」の第一弾は、インキメーカーのDICグラフィックス株式会社さんです。 印刷業にとって命ともいえるインキを提供してくださるDICグラフィックスさんは、印刷インキにおいて優れた品質と幅広い製品ラインナップを特徴とされています。同社とは長年関係が深く、インキの提供にとどまらない多大なサポートを受けてきました。
今回は、DICグラフィックスの販売子会社であるDIC機材株式会社さんの担当者様と当社社員の対談を実施し、DIC機材さんとサンエープリントとのあゆみについて振り返りました。

質問のレベルが高すぎて、営業はいつもドキドキしてました(笑)

サンエーとの取り引きを始められたきっかけはなんでしたか?

DIC)サンエーさんが当時お使いだった製品に不具合があったそうで、別のメーカーの製品に切り替えも検討されているというお話を伺ったんです。当時、営業部長だった小川(DIC機材現社長)が販売代理店様より経緯を伺い、すぐにドラムの供給を決定しました。営業部長自ら出向いて意志決定を行う姿を見て、当社にとってサンエーさんが非常に大事なお客様だとすぐに理解できました。

西村)あの時は、迅速な対応がありがたかったです。吉田さんはトラブルが起きたとき、「インキだけではなく、水が原因かもしれない。機械の調子かもしれない」と、全面的な調査を申し出てくださったこともあります。正直、インキメーカーなんだからインキのことだけ見ていてもいいのに(笑)。この方がいる会社なら信頼できそうだとなり、インキの供給をDICさんにお願いすることを弊社として決めました。

DIC)後に、私(吉田)がサンエーさんの担当になるのですが、身が引き締まる思いでした。なぜかというと、とにかく質問のレベルが高いんですよ。「よくある質問」には絶対に書かれていない技術的な質問が飛んでくるので、訪問前にいつもドキドキして(笑)。 そんなときに関係者との会食をセットしてくれたのが、サンエーの羽賀さんでした。入社間もない自分の知識レベルも洗いざらいお話し、その代わり、当社の技術部門、製造部門などに問い合わせて誠実に回答するとお約束しました。お互いへの信頼感が深まったというか、ありがたい機会でしたね。

DICさんのサポートなしでは、UV 印刷機の導入も運用も難しかった

サンエーが UV 印刷機を導入する際、どのようなサポートをいただいたのでしょうか?

DIC)羽賀さんからお問い合わせをいただき、UV印刷機のデメリットをお伝えしました。メリットはパンフレットを見ればわかる。でも、明らかなデメリットは書かれていませんよね。そこで、想定されるデメリットを挙げた社内資料を先行してお渡ししました。 そのうちに、UV印刷機の導入はサンエーさんの印刷部だけではなく、営業部の業務にも影響があるなと気付いたんです。納期が早まることでの段取りの変化はもちろん、印刷方式や材料の調達についても理解していないとクライアントに説明できません。

当社としては、メーカー、印刷会社、最終クライアントがともに高め合い、チャレンジしていける土壌をつくりたい。そんな気持ちもあったので「UV 印刷ってどんなもの?」という説明会をサンエーさんの印刷部と営業部に向けて開くことにしました。これまで私を信頼してくださったサンエーさんに、恩返ししたいという思いもありましたね。 説明会でもっとも留意していたのは、メリットもデメリットも隠さず説明すること。サンエーさんは高い技術をお持ちです。だからこそ、デメリットも知っていただければ使いこなしていただけると信じていました。社員の皆さんは驚くほど熱心に我々の話を聞いてくださいましたし、質問も相変わらずレベルが高くひやひやしました(笑)。

では、UV 印刷機の導入は順調に進みましたか?

西村)難しかったですね。デメリットを理解したつもりでしたが、UVインキはインキというよりペンキのイメージ。機械が違う動きをするというか……出てくる印刷物は同じように見えるけど、同じと思わない方がいいなと。説明会以降も DICさんからアドバイスをいただきながら試行錯誤でしたね。

DIC)パッケージやシール印刷が中心だった UV印刷機が、薄紙・商業印刷分野に進出したのは2009 年頃のことです。薄紙・商業印刷分野は紙幅や種類が多岐にわたり、UV印刷機を随時合わせていく必要があります。そのため、発表当初から、各インキメーカーは試行錯誤していました。例えば、当初の UVインキは、油性に似せた色味にすることを優先するあまり、ダウンタイム(メンテナンスのために機械を止める時間)が長くなっていたんですよ。正直、今とはくらべものにならないくらい扱いづらいもので、生産性の向上につながっていませんでした。
サンエーさんは、長年機械について深い知見を持っていました。だからこそ、UV 印刷機に替わってもできることとできないことが見えるし、どうしたらよりよいものができるのか考えられるんです。ちょっとマニアックで恐縮ですが、UV 印刷機は水幅がとても狭い。その条件を踏まえ、どんなコンディションにすればずれが軽減できるかという発想は、印刷機に詳しくなければ湧いてこない。サンエーさん、最先端のライメックス(原料の 60%が石灰石という新素材)まで手がけてるんですよ。研究熱心だからこそできるチャレンジだと感じますね。

羽賀)研究熱心と言われると気恥ずかしいですが、身体で覚えていくことは大切にしています。とにかく経験ですよね。機械を動かす中で、メンテナンスの中でひとつずつ勉強です。

一般的なインキメーカーと印刷会社の関係は超えてると思います(笑)

UV 印刷機の稼働を通して、二社の関係性は深まりましたか?

DIC)もちろんです。今では、サンエーさんの現場からいただくフィードバックで、当社の製品がどんどん改良されているんです。納品メーカーと印刷会社という関係性は完全に超えた気がします(笑)。
メーカーであるわたしたちは、刷り上がりをチェックするのにテスト機を使います。100 枚くらい印刷して状態が良ければ「この状態が続けばいい」と願いながらインキを送り出します。サンエーさんのような印刷会社が印刷する枚数は毎日数万枚。この違いは大きく、100枚印刷しただけではありえない不具合が、4万枚の時点で起きる可能性があります。
サンエーさんは「こんな場面でインキの状態がこうなって、こんな刷り上がりになりました」と、実際の印刷物まで提供してくださいます。わたしたちはその印刷物やデータを持ち帰り、インキの改善策を考えます。原料の変更まで検討できるようになり、UV インキの生産性向上に向けた取り組みも一段と進みました。サンエーさんは、常に「さらによくするには?」という視点を持って仕事をされているので、メーカーとして非常にありがたい会社さまです。UV 印刷機が市場に出回った現在もサンエーさんが優位性を保っているのはひとえに探求心が保たれているからですよね。

羽賀)吉田さん熱い……普段、真面目に仕事してるんだね(笑)

全員)(笑)

DIC)正直な話、ご要望をいただいても自社製品では応えられないということもあります。そんな時「似たものならあります!」と食らいつくのは会社員としては正しいとは思うんですが、お客様の求めに応じられる他社製品があれば提案することもあります。

西村)信頼できるかそうでないかって、こういう行動の積み重ねだと思うんです。

短い対談の中で「信頼」という言葉がこんなにも出てくることに驚いています。

DIC)いただいた質問について、わかりやすくお答えしたいという気持ちは最初からありましたね。今思えば、それが信頼いただくきっかけだったかもしれません。ただ、それもクライアントがサンエーさんだからできたことだと思います。サンエーさんは、まず社内で懸念材料を全てつぶした上で、はじめて連絡が来るんです。疑問点が明確だから、当社の技術部も明確な答えを戻してくれます。

羽賀)吉田さんの対応は真摯だし、本当に速い。また使っちゃいますけど、信頼しています。確かに DICさんに質問するときは、これ以上の可能性が探れないとき。技術者としての意地というかプライドですね(笑)

では、最後に手前味噌ですが、DIC さんがサンエーと仕事をしていてよかったと思われたエピソードはありますか?

DIC)サンエーさんのご意見は、わたしたちの製品開発に直結するんです。印刷の不良はインキだけではなく、機械の設定や紙や通し枚数など複数の条件が重なって発生します。しかし、サンエーさんは機械設定のノウハウがあるのでインキに起因する障害だけを明確にできるんです。サンエーさんのご意見で改良を重ねたインキは、他社でも使いやすいインキになるわけですよね。売れる可能性が高いインキの開発にご協力をいただいていることは、本当にありがたいと思っています。

サンエーさんのように、信頼できるユーザーの声は、製品を改良させる力を持っています。私たちも、サンエーさんが求める高いレベルに応えられるよう頑張りますので、これからも遠慮なく質問やご要望をお聞かせください。 羽賀・西村)こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。

※DIC株式会社の子会社である DICグラフィックス株式会社は日本国内におけるインキ製品をメインとした販売・開発・製造を行うインキメーカーです。またDIC機材株式会社は、代理店様への販売をメインとしたDICグラフィックス株式会社の販売子会社です。